今週のお題「手づくり」
今週のお題「手づくり」
手づくりは魔法だ。
何かを作って生み出すという才能を授ける神様がいるとするならば、私はその神様からかなり嫌われているらしい。
手づくりに必要なセンスと器用さが、私には欠片もないのだ。
料理、裁縫、美術、図工・・・。どれも、出来上がったものは目も当てられない代物になってしまう。
包丁で食材を刻めば、原形は跡形もなく消える。
ミシンを踏めば、上糸と下糸が絡まってそこから先に進めない。
自画像を描けば、蛇女が現れる。
放課後、長い時間を掛けて木工のボックスにニスを塗っていたつもりが、実はニスの薄め液だった。
手づくりは嫌いだ。悲しくなるだけだから。
だからこそ、他者が行う手づくりは魔法のように見えて、感動を覚える。
何もないところから、たちどころに、唯一無二のこの世に一つだけの完成された世界が作り出されていく。
そのスマートで流麗な仕草は、まるで魔法使いが杖を一振りするよう。
神様が才能を授けてくれないのならば、自分で手づくりのコツをつかみ取るしかない。
魔法使いの見習いとして、日々修行は続く。